理想の睡眠時間は6時間以上?長時間睡眠のメリットや睡眠の質を上げるコツ
睡眠時間は健康維持に重要な役割を果たしています。しかし、適切な睡眠時間は個人差があり、一概に決められるものではありません。この記事では、年齢別の推奨睡眠時間や、睡眠の質を高める方法について解説します。
睡眠に悩む方や、より良い睡眠を求める方にとって、有益な情報となるでしょう。自分に合った睡眠時間を知ることで、心身ともに健康的な生活を送ることができます。
理想の睡眠時間は年齢によって違う
理想的な睡眠時間は年齢によって変化することが分かっています。子どもの頃は長い睡眠時間が必要ですが、成長するにつれて必要な睡眠時間は徐々に減少していきます。
理想の睡眠時間 | |
成人 | 6時間以上 |
高齢者 | 8時間以上にならないこと |
小学生 | 9~12時間 |
中学・高校生 | 8~10時間 |
参考:厚生労働省|健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)
成人の場合、個人差はありますが、6〜7時間前後の睡眠時間が目安とされています。ただし、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人の推奨睡眠時間を6時間以上としています。
重要なのは、睡眠時間の長さだけでなく、その質も考慮することです。十分な睡眠時間を確保しても、睡眠の質が悪ければ、十分な休養を得られません。逆に、短い睡眠時間でも質の高い睡眠であれば、十分な休養効果が得られる場合もあります。
個人の適切な睡眠時間は、日中の眠気や活動性を観察することで判断できます。日中しっかりと覚醒して過ごせるかどうかが、十分な睡眠が取れているかどうかの目安となります。
睡眠時間にこだわりすぎると、かえって不眠症などの睡眠障害を引き起こす可能性があります。自分の体調や生活リズムに合わせて、柔軟に睡眠時間を調整することが大切です。
適切な睡眠時間をつくるメリット
適切な睡眠時間を確保することは、心身の健康維持に重要な役割を果たします。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人の睡眠時間は6時間以上を目安としていますが、一般的には7~9時間が推奨されています。
この睡眠時間を確保することで、さまざまなメリットが得られるのです。
成長ホルモンの分泌を促進する
十分な睡眠時間を確保すると、成長ホルモンの分泌が促進されます。成長ホルモンは、身体の疲労回復や細胞の修復、代謝調節などに重要な役割を果たしています。
特に、睡眠前半の3~4時間ほどの深い眠りの段階で多く分泌されるため、睡眠時間が短くなると分泌量が減少してしまう可能性があります。適切な睡眠時間を確保することで、成長ホルモンの恩恵を十分に受けられるのです。
免疫力がアップする
十分な睡眠時間は、免疫力の向上にもつながります。海外の調査では、睡眠時間が短い人や睡眠効率の低い人ほど風邪を引きやすいという報告があり、睡眠不足になると免疫細胞の働きが低下するというデータもあります。
適切な睡眠時間を確保することで、体の防御機能が高まり、病気に対する抵抗力が増すのです。
記憶力や集中力がアップする
十分な睡眠は、記憶力や集中力の向上にも寄与します。睡眠中、脳は情報を整理し、その日に得た体験や知識を定着させる作業を行っています。睡眠不足になると、この過程が妨げられ、記憶の定着が難しくなります。
また、睡眠時間が短くなると脳の老廃物が十分に排出されず、脳機能が低下して集中力が落ちてしまいます。適切な睡眠時間を確保することで、翌日の記憶力や集中力を高めることができるのです。
心身のストレスを緩和する
十分な睡眠時間は、心身のストレス緩和にも重要な役割を果たします。睡眠中、脳は日中の出来事を整理し、ネガティブな記憶や不要な情報を消去します。これにより、抑うつ症状や情緒不安定になるのを防ぐことができます。
さらに、十分な睡眠は心身を守るホルモンであるコルチゾールの分泌を安定させ、ストレスへの対処能力を高めます。適切な睡眠時間を確保することで、心身のバランスを整え、ストレス耐性を高めることができるのです。
生活習慣病の予防になる
7~9時間の適切な睡眠時間を確保することは、生活習慣病の予防にもつながります。睡眠時間が短いと、肥満・糖尿病・循環器疾患などの生活習慣病の発症リスクが上昇することが分かっています。特に、6時間未満の睡眠では全死亡リスクが上昇したという調査報告もあります。
適切な睡眠時間を確保することで、これらの生活習慣病のリスクを低減し、健康的な生活を送ることができるのです。
睡眠時間は長すぎてもリスクがある
適切な睡眠時間を確保することの重要性は理解できましたが、睡眠時間が長すぎる場合にもリスクがあることを知っておく必要があります。一般的に、9~10時間以上の睡眠は「寝すぎ」と考えられ、心身に悪影響を及ぼす可能性があります。
体重が増加する
9~10時間以上の長時間睡眠をとっている人は、平均的な睡眠時間の人と比べて、体重が5kg以上増加する確率が高いという調査結果があります。韓国で行われた調査では、睡眠時間が10時間以上の人でメタボリックシンドロームのリスクが上昇し、特に女性において腹囲の増加が見られることが示されています。
長時間の睡眠は、活動時間の減少や代謝の低下につながり、結果として体重増加のリスクを高める可能性があるのです。
心血管疾患の死亡リスクが増加する
海外の調査によると、9時間以上の睡眠をとっている人は、心血管疾患による死亡リスクが高いことが報告されています。日本での調査でも、10時間以上の睡眠をとる人は7時間睡眠の人と比べて、心血管疾患の死亡率が男性で3.6倍、女性で2.7倍高くなるという結果が出ています。
長時間睡眠が直接的に心血管疾患のリスクを高めるわけではありませんが、長時間の睡眠は他の健康問題の兆候である可能性もあるため、注意が必要です。
認知機能が低下する
70歳以上の高齢者を対象とした調査では、睡眠時間が9時間以上の人は、平均的な睡眠時間の人より認知機能が低いという結果が報告されています。日本での追跡調査においても、10時間以上の睡眠をとる高齢者は認知症発症率が上昇することが明らかになっています。
長時間睡眠が直接的に認知機能の低下を引き起こすわけではありませんが、過度の睡眠は脳の活性化を妨げる可能性があるため、適度な睡眠時間を心がけることが重要です。
睡眠時間が短いときは「睡眠の質」「体内リズム」に注目
仕事や生活スタイルの関係で、推奨される7~9時間の睡眠時間を確保することが難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、睡眠の質や体内リズムに注目することが大切です。
睡眠の質を高めることで、短い睡眠時間でも十分な休養を得られる可能性があります。また、体内リズムを整えることで、限られた睡眠時間を効果的に活用できます。
睡眠の質を高めるポイント
睡眠時間が十分に確保できない場合でも、睡眠の質を高めることで、より良い休養を得ることができます。以下に、睡眠の質を高めるためのポイントをいくつか紹介します。
日中に適度な運動をする
適度な運動は、睡眠の質を高めるのに効果的です。軽く息がはずむ程度の運動を行うことで、疲労回復のための睡眠欲求が増え、入眠がスムーズになり深い睡眠が得られやすくなります。特にジョギングやウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。
ただし、就寝直前の激しい運動は逆効果になる可能性があるため、就寝の3時間前までに行うようにしましょう。
寝る前のカフェイン・アルコール摂取を控える
カフェインには覚醒作用と利尿作用があるため、就寝前の摂取は避けるべきです。また、アルコールは一時的に眠りを誘う効果がありますが、睡眠の質を低下させる可能性があります。
カフェインやアルコールは体内で分解するのに時間がかかるため、就寝の3~4時間前からは摂取を控えるようにしましょう。
寝る前のスマートフォンの操作を控える
スマートフォンの画面から発せられるブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、寝つきを悪くする可能性があります。
就寝1時間前からはスマートフォンの使用を控え、代わりにリラックスできる活動を行うことで、良質な睡眠につながります。
寝る1時間前に入浴を済ませる
入浴は睡眠の質を高めるのに効果的です。ただし、就寝直前の入浴は逆効果になる可能性があります。入浴から1~2時間後に就寝するのが理想的です。また、湯温は熱すぎると神経が興奮して血圧が上昇するため、38~40度のぬるめのお湯がおすすめです。
起床時に朝日を浴びる
朝日を浴びることで、体内時計をリセットし、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を調整できます。朝日を浴びるとメラトニンの分泌は一旦停止し、14~16時間後に再び分泌を開始します。これにより、夜になると自然と眠くなり、良質な睡眠につながります。
リラックスできるパジャマ・寝具を使う
快適な睡眠環境を整えることも、睡眠の質を高めるポイントの一つです。自分に合った快適なパジャマや寝具を選ぶことで、リラックスして眠ることができます。また、お気に入りのパジャマに着替えるなど、「自分なりの入眠儀式」を毎日行うことで、睡眠モードへの切り替えがスムーズになり、入眠しやすくなります。
以上のポイントを意識して生活習慣を整えることで、睡眠の質を高め、より効果的な休養を得ることができるでしょう。適切な睡眠時間の確保と合わせて、これらの方法を実践することで、心身ともに健康的な生活を送ることができます。
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